重力ポテンシャルを考える際に、前提となっているモノがあります。それが
物質が存在しなければ、重力ポテンシャルはフラットで、宇宙空間は平坦だ ー①
というものです。逆に言えば、重力ポテンシャルがあるということは、そこには何らかの物質が存在していて、もし見えている物資るが作るポテンシャルよりも大きいというか深いポテンシャルが見つかったら、そこには観測では見えていない物質があるということです。それが
「暗い(から見えない)物質=ダークマター」
なわけです。
大学院生時代、重力レンズの研究をやっていると、この「ダークマター」が大変わずらわしかったわけです。何とかならんか?と。できれば全部、ブラックホールの様なバリオン物質由来の天体で説明できて欲しい。
もちろん、他の制約(特に宇宙のリチウム量)から、全部がバリオンなのは無理だというのもわかってはいたのですけどね。
そこで考えたのが、
物質が存在しなくても、重力ポテンシャルは凸凹していて、宇宙空間は平坦ではない -②
というネタです。そういうことができるのだろうか?この10年ほど考えはしても、なかなかそれの根拠にできそうなネタを見つけられなかったのです。
が! ちょっと思いついたことがあります。大学院生時代、
「宇宙ひも(コズミックストリング)が重力レンズによる二重像の並びである『バイナリー・フィールド』をつくるはず」
という論文を読んだことがありました。コズミックストリング、ドメインウォール、モノポール、テクスチャー(これらをまとめて位相欠陥と言います)は、ざっくりと言えば宇宙が相転移した際に相転移せずに残った部分です。ですからエネルギーを残したままになっているのです。だから重力源になり得るよ、と。
実際に、1990年頃にはコズミックストリングが超銀河団のような泡構造を生み出したのではないかという研究もありました。
あれ? だとすると、これらの位相欠陥が宇宙に十分存在するならば、②を満たすのでは…? 実際に調べてみると、位相欠陥がダークマターを生み出すとする論文もあるようです。マイナーだけど。
だったら、どれくらいの位相欠陥が、どれくらいの密度で分布していればダークマターになり得るのか。ちょっと計算してみたくなったわけです。
また、これらの位相欠陥が解消する際には、エネルギーが解放されるはずです。これがダークエネルギーになり得るという可能性も…あんまり研究されていないようですが、なくもない…のかな?
というわけで、少し②が正しいかどうかを検証するような事をしてみようと思います。重力レンズ的にどんなものが見つかれば良いのかもいろいろと考えられそうですし。
…ただなぁ…これって下手をすると定常宇宙論の「C場」だよなぁ…一応、そういうのを考えた人がいないかも調べてみるか…