Plume-Surface Interaction問題

今回の日本航空宇宙学会の年会で気になったネタがいくつかあります。そのうちの1つがこれ。

天体に宇宙機や宇宙船が着陸する際には逆噴射による減速を行います。それ自体は必要なことですが、この逆噴射で吐き出されたガスが天体表面の砂や石を巻き上げます。これを

「Plume-Surface Interaction」

と呼びます。アポロ11号の月面着陸時に逆噴射によって巻き上げられたレゴリスが視界を覆ってしまい、着陸するべき表面の様子を確認できなくなったというのが、研究開始の始まりだとレビュー論文には書かれていますし、NASAのサイトでもアポロ11号のモノがモデル化されて掲載されています。

実際には視界が覆われるだけではなく、巻き上げられた礫が宇宙機や宇宙船自体に被害を与える可能性もあります。特にサンプルリターンの着陸機や有人宇宙船が破損してしまうと帰還ができなくなってしまいますので、大問題です。
他にもガスの作った凹みというかクレーターに万が一、着陸用の脚が入ってしまった場合には、宇宙機が転倒する可能性もあります。
ちなみに同じ様な映像は小惑星イトカワに着陸した初代はやぶさや、リュウグウに着陸したはやぶさ2の映像でも見て取れました。

今後、アルテミス計画で月面着陸を行う場合には大問題となりますので、これへの対策が必須になるということで、研究をしている方々がいるわけです。

ちなみに回避するためには

1)逆噴射を行わずに着陸する
2)宇宙機にレゴリスや礫がぶつからないように巻き上がる方向を制御する
3)宇宙機側の設計を工夫する

の3つくらいが考えられます。今回は2をテーマとした発表がありました。で、理学面からの懸念点があり、検討して欲しい内容として伝えたのは、下記のものです。

巻き上がる角度を抑え、遠くに飛ばすようにして破損を防ぐのは良いが、表面のサンプルを取得する場合にはまき散らされた範囲は「汚染領域」と見做す必要があるため、どの程度の距離まで飛ぶのかを計算できる式を作ってほしい。

式自体は難しい内容ではないはずなので、シミュレーションや実際の実験結果から飛距離などをフィッティングすれば、ざっくりとしたものはできるはず。その際には重力を入力できるように変数として入れておくことと、空気抵抗も入れられると良いですね。